DDDの集約(Aggregate)設計ルールに基づくコードレビュー・設計支援・リファクタリングを行う。 Evans Rules、Vernon's 4 Rules、Design by Contractに基づき、集約の境界定義、不変条件の検証、 不変(Immutable)設計、ID参照、結果整合性、ドメインイベント連携を包括的にガイドする。 以下のいずれかに該当する場合は必ずこのスキルを使用すること: - 集約(Aggregate)の新規設計・実装・リファクタリング(どの言語でも) - 既存の集約やエンティティクラスのDDD観点でのコードレビュー - 集約の境界決定(「AとBは同じ集約にすべきか?」「この集約は大きすぎるか?」) - 集約内の不変条件・整合性境界の設計 - 集約間の連携方式の判断(ドメインイベント、結果整合性、Sagaパターン) - 可変(Mutable)な集約コードを不変(Immutable)設計にリファクタリングする - publicフィールド、直接参照、push/appendなどカプセル化違反の検出・修正 キーワード例:集約、Aggregate、aggregate boundary、集約ルート、AggregateRoot、 エンティティ設計、DDD実装、Vernon Rules、Evans Rules、集約の分割、真の不変条件
law-of-demeter
デメテルの法則(最小知識の原則)に基づくコードレビューと設計支援。オブジェクトの連鎖呼び出し (Train Wreck)を検出し、直接の友人とのみ会話する設計へ変換する。結合度の低減と 変更容易性の向上を促進する。コードレビュー、新規実装、リファクタリング時に オブジェクト間の結合が深い場合に使用。 対象言語: Java, Kotlin, Scala, TypeScript, Python, Ruby, Go, Rust。 トリガー:「デメテルの法則」「連鎖呼び出しを減らしたい」「Train Wreckを直して」 「結合度を下げたい」「ドット連鎖が多い」「最小知識の原則」「Law of Demeter」 といったオブジェクト間結合関連リクエストで起動。
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Law of Demeter
直接の友人とだけ話せ。見知らぬ者に話しかけるな。
核心原則
メソッドは「直接の友人」のメソッドだけを呼び出し、「友人の友人」には手を出さない。
Karl Liebherr(1987年、ノースイースタン大学)が提唱。正式名称は「最小知識の原則(Principle of Least Knowledge)」。
| アプローチ | 特徴 | 問題 |
|---|---|---|
| 連鎖呼び出し | a.getB().getC().doX() | 内部構造に依存、変更に脆い |
| 委譲 | a.doX() | 結合度が低い、変更に強い |
4つのルール
メソッド M が呼び出してよいのは、以下の4種類のメソッドのみ:
| # | 許可される呼び出し先 | 説明 |
|---|---|---|
| 1 | 自身(this / self)のメソッド | 自分のクラスに定義されたメソッド |
| 2 | M の引数として渡されたオブジェクトのメソッド | パラメータ経由の直接の友人 |
| 3 | M 内で生成したオブジェクトのメソッド | 自分が作ったオブジェクトは友人 |
| 4 | 自身のインスタンス変数(フィールド)のメソッド | 保持しているオブジェクトは友人 |
禁止: 上記メソッド呼び出しの戻り値のメソッドを呼び出すこと(=友人の友人)
判断フロー
メソッド内で obj.method() を呼んでいる
↓
obj はどこから来たか?
├─ this/self のフィールド → ✅ 許可(ルール4)
├─ メソッドの引数 → ✅ 許可(ルール2)
├─ メソッド内で new/生成した → ✅ 許可(ルール3)
├─ this/self 自身 → ✅ 許可(ルール1)
└─ 別のメソッド呼び出しの戻り値 → ❌ 違反(友人の友人)
アンチパターン検出
Train Wreck(列車事故)
連鎖的なドット呼び出しでオブジェクトの内部構造をたどるパターン:
❌ order.getCustomer().getAddress().getCity()
❌ user.getProfile().getSettings().getTheme().getName()
❌ app.getConfig().getDatabase().getConnection().execute(query)
❌ invoice.getLineItems().get(0).getProduct().getCategory()
検出基準
| パターン | 問題 |
|---|---|
| ドットが2つ以上の連鎖 | 構造依存(ただし流暢APIは例外) |
| getter連鎖 + 末尾の操作 | 取得したオブジェクトの操作 = 友人の友人 |
| getter連鎖 + if文 | 遠いオブジェクトの状態で分岐 |
変換パターン
1. 委譲メソッドの導入
// ❌ 違反: 友人(order)の友人(customer)の友人(address)に話しかけている
City city = order.getCustomer().getAddress().getCity();
// ✅ 修正: 各レベルに委譲メソッドを追加
City city = order.getShippingCity();
// Order
public City getShippingCity() {
return customer.getShippingCity();
}
// Customer
public City getShippingCity() {
return address.getCity();
}
2. 目的に応じたメソッド名
// ❌ 違反: 内部構造を露出した名前
Email email = order.getCustomer().getEmail();
// ✅ 修正: 目的を表すメソッドを提供
Email email = order.getNotificationEmail();
3. パラメータとして渡す
// ❌ 違反: 遠いオブジェクトを取得して使用
void processOrder(Order order) {
PaymentGateway gateway = order.getCustomer().getPaymentGateway();
gateway.charge(order.getTotal());
}
// ✅ 修正: 必要なオブジェクトを引数で受け取る
void processOrder(Order order, PaymentGateway gateway) {
gateway.charge(order.getTotal());
}
4. 振る舞いをオブジェクトに移動
// ❌ 違反: 外部で判定
if (order.getCustomer().getAddress().getCountry().equals("JP")) {
applyJapaneseTax(order);
}
// ✅ 修正: 判定ロジックをオブジェクトに持たせる
Order orderUpdated = order.applyApplicableTax();
// Order
public Order applyApplicableTax() {
return customer.applyTaxFor(this);
}
例外:違反ではないケース
1. 流暢API / ビルダーパターン
// ✅ 許可: 流暢APIは同一オブジェクトを返す
User user = User.builder()
.name("Alice")
.email("alice@example.com")
.build();
理由: 各メソッドが this を返すため、友人の友人ではなく同じ友人と会話し続けている。
2. データ構造(DTO / Value Object)
// ✅ 許可: DTOは振る舞いを持たない単なるデータ構造
City city = addressDto.getCity();
int zip = addressDto.getZipCode();
理由: DTOは内部構造の隠蔽を目的としない。ただし、ドメインオブジェクトでは違反。
3. ストリーム / コレクション操作
// ✅ 許可: ストリームAPIの連鎖
List<String> names = users.stream()
.filter(u -> u.isActive())
.map(u -> u.getName())
.collect(Collectors.toList());
理由: ストリームAPIは流暢APIの一種であり、内部構造の探索ではない。
4. 標準ライブラリの連鎖
# ✅ 許可: 標準ライブラリの連鎖
result = text.strip().lower().replace(" ", "_")
理由: 同一型(String)のメソッド連鎖であり、内部構造への依存ではない。
過剰適用の警告
「ラッパーメソッドの爆発」に注意
// 過剰: すべてのフィールドに委譲メソッドを作成
class Order {
Name getCustomerName() { return customer.getName(); }
Email getCustomerEmail() { return customer.getEmail(); }
Phone getCustomerPhone() { return customer.getPhone(); }
City getCustomerCity() { return customer.getAddress().getCity(); }
// ... 延々と続く
}
対処: 本当に必要な操作だけを委譲する。全フィールドの委譲は設計の問題を示す。
判断基準
| 状況 | 対応 |
|---|---|
| 委譲メソッドが3個以内 | 適切 |
| 委譲メソッドが4個以上 | 設計を見直す(責務の分割を検討) |
| 同じ委譲先への委譲が大量 | そのオブジェクトを直接使うべきか検討 |
関連原則
| 原則 | 関係 |
|---|---|
| Tell, Don't Ask | 補完関係。TDAは「命じよ」、LoD は「友人にだけ」 |
| カプセル化 | LoD はカプセル化を構造的に強制する手段 |
| 疎結合 | LoD の遵守は結合度を機械的に低下させる |
| 単一責任原則 | 委譲メソッドの爆発は SRP 違反のサイン |
| breach-encapsulation-naming | getter を明示的に制限する命名規約 |
レビュー観点
コードレビュー時の確認ポイント:
- ドット連鎖:
a.b().c()形式の連鎖が2段以上ないか - getter連鎖: 取得→取得→操作のパターンはないか
- 遠いオブジェクトへの依存: メソッドが知るべきでないオブジェクトを参照していないか
- 例外の確認: 流暢API / DTO / ストリームなら許容
詳細ガイドライン
言語別の実装パターン、リファクタリング手順の詳細は references/patterns.md を参照。
関連スキル(併読推奨)
このスキルを使用する際は、以下のスキルも併せて参照すること:
tell-dont-ask: 振る舞い面の補完原則(状態を問い合わせず命じる)first-class-collection: コレクションへのデメテルの法則適用パターンbreach-encapsulation-naming: 連鎖呼び出しが避けられない場合の命名規約
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同じリポジトリのスキル
概要と使いどころ
集約とトランザクション境界の関係を明確化し、複数集約を単一トランザクションに含めるアンチパターンを 検出・是正する。集約は強い整合性境界であり、ユースケースで複数集約を更新する場合は結果整合性を 使うべきという原則を適用する。コードレビュー、ユースケース設計、リファクタリング時に トランザクション境界の問題を検出する場合に使用。 対象言語: 言語非依存(Java, Kotlin, Scala, TypeScript, Go, Rust, Python等すべて)。 トリガー:「複数集約を同じトランザクションで更新している」「ユースケースに@Transactionalがある」 「集約間の整合性をどう取るか」「Sagaパターンを使うべきか」「トランザクション境界の設計」 「1トランザクション1集約」「結果整合性の実装」「集約をまたぐトランザクション」 といったトランザクション境界関連リクエストで起動。
後方互換性がゴミコードを量産する構造を検出し、互換性を「契約と撤去計画」として管理する ガバナンスを支援するスキル。公開API境界の明確化、非推奨化サイクル(deprecation cycle)の 制度化、互換層の局所化(Adapter/Strangler Fig)、契約テスト(CDC)による互換性検証、 AI生成コードの互換性ゲート設計を含む。コードレビュー、API設計、リファクタリング、 レガシー移行時に互換性起因の技術的負債を防ぐために使用。 対象言語: 言語非依存(Java, TypeScript, Go, Python, Rust等すべて)。 トリガー:「後方互換性を保ちたい」「非推奨APIをどうする」「互換層が増えてきた」 「レガシー移行の戦略」「API設計レビュー」「互換性のためのコードが多い」 「deprecation policyを作りたい」「破壊的変更の管理」といった互換性管理関連リクエストで起動。
getterの濫用を防ぐための命名規約スキル。ドメインモデルでgetterが必要な場合(永続化、JSON変換など)に `breachEncapsulationOf` プレフィックスを付与することで、カプセル化を破っていることを明示する。 これにより、Tell Don't Ask原則の違反を未然に防ぎ、getterの意図しない使用を抑制する。 コードレビュー、新規実装、リファクタリング時にgetter設計が必要な場合に使用。 対象言語: Java, Kotlin, Scala, TypeScript, Python, Go, Rust。 トリガー:「getterの命名規約」「カプセル化を破るgetter」「永続化用のgetter」 「breachEncapsulation」「getterを作りたいが濫用を防ぎたい」といったgetter命名関連リクエストで起動。
クリーンアーキテクチャを採用しているプロジェクト向けの設計・レビュー支援。4層構造(ドメイン層、 ユースケース層、インターフェースアダプタ層、インフラストラクチャ層)に基づく。特にインフラ層は 横断的関心事(ロギング、設定管理)のみ、永続化やRPCはインターフェースアダプタ層に配置すべき という原則を適用する。トリガー:「クリーンアーキテクチャで」「クリーンアーキテクチャに従って」 「クリーンアーキテクチャのレビュー」など、クリーンアーキテクチャを明示的に指定した場合のみ起動。 一般的な「設計レビュー」「アーキテクチャ相談」では起動しない。
CQRS/ESが集約の境界定義とモデリングに与える影響を解説する。CQRSを導入すると集約は コマンド実行に必要な最小限の状態のみ保持すればよくなり、読み取り責務はリードモデルに 委譲できる。大きすぎる集約の軽量化、集約境界の再定義、イベントによる状態管理を支援する。 集約設計、CQRS導入時のモデリング見直し、パフォーマンス問題の解決時に使用。 対象言語: 言語非依存。 トリガー:「CQRSで集約が変わる」「集約が大きすぎる」「集約にメッセージ1000件」 「集約の更新が重い」「CQRS導入で集約を見直す」「集約を軽量化したい」 「集約にクエリ用データが混ざっている」「集約の境界を再定義」 といったCQRS/モデリング関連リクエストで起動。